個性豊かな事例を添えて基礎概念を紹介してくれる文化人類学入門書

 

最近、物語を考えているときに、「そもそも文化とはなんだろう?どうやってできていくもの?どんな文化があるんだろう?」という疑問に行き着きました。というか、創作をやりたいのも、根本にはこのトピックへの好奇心があったりします。

そこらへんの領域はまったくの無知で、ジャンル名からわからずググったりした結果、とりあえずこれは文化人類学だろうと。そして入門書を何冊か漁って、一番ハマったのがこちらの本。

文化人類学の概念の紹介に様々な民族の文化を紹介していて読み物として非常に楽しいのと同時に、なんだろう、常識は常識ではないのだなと安心させてくれる。

文化人類学入門(増補改訂版) (中公新書)
 

 

以下は個人的メモ。興味を持った部分を中心に、以下の項目を意識している

  • 今後の興味を深ぼるための基礎知識
  • 文化の構成要素、発生要因
  • 文化の具体例ストック

 

 

文化の伝播

民話、神話、伝説の定義

  • 民話: 語る人も聞く人も実際にあったと信じてない。動物が言葉を話したり、起こった時も場所もはっきりしてない。いわゆる「むかしむかし、あるところに」
  • 伝説: 場所人名年代がはっきりしてる、実際にあった前提のもの
  • 神話: ずっとずっと昔の神様の物語。半信半疑で受け止める。神様の時代なら可能かもという気持ちと、聖なることについて詮索するタブー感から。

母の死後英雄が死体から生まれる話は太平洋を囲む地域だけ

日本人になじみがあるのは赤ちゃんを幽霊の女が育てて、その子が母親の仇を打つという、小夜の夜泣石

平家の落ち武者が逃げ延びてできた平家村が全国に132ヶ所

実際よりも多すぎる。これも伝播したストーリー

 

狩猟採集民族 - 狩猟の規模で変化、格差のない生活

狩猟民族でも狩猟の規模で生活形態が大きく違う。大抵は植物性食料のほうが大きな比重。気候の変動などで野牛やトナカイが出てこないとすぐに食糧難。一族全てが餓死する場合もある。一定の土地範囲内で特定集団(バンドまたはホルド)が移動。集団内の貧富の差、階級の差がなく、首長も権力があるわけではない。

貴重な動物タンパクのイナゴ狩り - 砂漠の大盆地地帯

アメリネヴァダ州砂漠の大盆地地帯に住むパイユート、ジョシュニ、ユートなどのインディアン

パイユート・インディアン | ラスベガス全集 米国ラスベガス写真家 Ken Kanazawa 

パイユート・インディアン

女が種子、果実、球根類を100種類以上採集。主食マツの種子、すり潰しペーストにして煮て食べる。ユリなどの球根は先を尖らせた木の棒で採集。食生活の6割が植物性。

男は狩猟でシカ、カモシカ、ウサギ狩る。

最も特徴的なイナゴ狩り、女も子供も参加してたくさんつかまえ、煮たり焼いたりして食べる、すり潰して貯蔵、大きな動物がいないなかの貴重な動物蛋白

野牛中心の生活 - 北米大平原地帯

北米インディアン、ミシシッピ州からロッキー山脈にわたりワイオミングやダコタ等の州にまたがる大平原地帯に住むスー、シャイアン、コマンチなどの諸族を含む平原インディアン

スー族 - Wikipedia

野牛(バッファロー、バイソンとも言う)の群れを馬に乗った大勢の勢子が包囲しておいつめ、一斉に射殺する集団猟。

野牛の皮で円錐型の大きなテント(ティピ)、衣服やくつ。矢じりなど道具は野牛の骨、食器は角。野牛の肉が重要な食料。球根、木の実、イチゴ類をすこしは採集するが主食は獣肉。

(ここへ白人開拓民の侵入で野牛が姿を消し、抗争へ)

ナマ肉 - 北極圏のエスキモー

エスキモーの街 コッツビュー | アメリカ 旅行 観光 情報サイト|Link-USA

f:id:yuhizer0:20201025063912p:plain

平原インディアンよりも狩猟の占める割合が大きい。アザラシ、クマ。カヌーに乗ってクジラを追い魚も取る。ツンドラ(凍土)のイチゴ類をほんの少し取るだけ、大部分は動物肉。ナマで食べることで肉のビタミンCが壊れず、植物性の食べ物が少なくとも大丈夫だった。

 

農耕と牧畜

農耕の中でも穀物農耕が文明の出発点

根菜農耕と穀物農耕がある。

穀物農耕の方が収穫がはるかに安定している。根菜はすぐ腐るが、穀物は運搬、貯蔵が可能で、結果分業化が起こり農耕以外に従事するもの、都市の発生。穀物は収穫期があ

り、実りを祈る儀礼や僧侶の発生。

牧畜の分類 - 放牧、移牧、定住

  • 放牧: 動物と共に人間が移動し続ける、無文字文化はほとんどこれ
  • 移牧: 平地の家畜を夏は高山の牧場、冬は山から降りる
  • 定住的牧畜

 

クラ - 無文字社会の経済活動で最も基本的な交換

ニューギニアに近いトリブリアンド諸島および周辺島々にて儀礼的贈物の交換=クラと呼称

時計回りにソウラヴァ、反時計回りにムワリ

トリブリアンド諸島、アンフレッド諸島その他広範囲にわたる慣習や言語の異なる住民の住む島々を一つの環とし、時計回りにソウラヴァ(赤い貝で作った首飾り)、反時計回りにムワリ(白い貝の腕輪)

男だけが参加、地衣によっていろいろだが2人〜200人に及ぶことも。1、2年所有してから隣の地域に渡す、交換に反対の品物を受け取る、いつまでも回り続ける。

交易、名声、集団作業

交換に加え、相手が望む品物も与え、様々な交易も行う。

立派な贈物を早く与えることで富を象徴し名声を得られる。クラの交換相手との厳密な関係。集団で航海、そのためのカヌー作りによって集団関係構築

 

衣服

機能主義(保温、体の保護のため)

南米南端フェゴ島のオナ族、真夏にも雪が降る極寒の中グァナコ(野生のラマ)の毛皮を身にまとうだけ、しかも毛のない冷たい面を内側に。真夏のネクタイ、スーツもまたしかり。つまり機能だけではない。

装飾、異性へのアピール

普段は裸体でも、若い男女が集まる舞踊のときはわざわざ衣服をつける。

身分の強調

南米アマゾンのカマユラ族、祈祷師に作業用シャツを与えると、猛暑の昼間はシャツを着て村を歩き回り、冷気が流れる夜はシャツは着て歩かない。祈祷師としての地位のシンボルとしてのシャツに

羞恥心から衣服ではなく衣服から羞恥心がうまれる

隠してる部分が恥ずかしい。和服時代の日本女性はふくらはぎを見せるのははしたなく、戦前の中国女性は纏足を見せるのを最も恥ずかしがる

 

言語の系統

語族

世界史をやっていることもあり興味のある話題。気になる語族だけピック

インド・ヨーロッパ語族 - ケルトゲルマンアーリアヒッタイトなど

語族として最大。ゲルマン人アーリア人ヒッタイト

インド・イラン語派、スラヴ語派、ギリシア語派、イタリック語派、ケルト語派、ゲルマン語派

ドラヴィダ語族

南インドで話される諸語

アフリカ・アジア語族 - ハム・セム語の改訂版

セム語系といわれてたアラビア語ヘブライ語。ハム語系と言われてた古代エジプトベルベル語など。ハム・セム語族と言われていたが、ハム語系にそこまで相互関係が近くないことがわかり、アフリカ・アジア語族と呼ばれるように

コイサン語族 - ホッテントット語から命名

アフリカ南西部のホッテントット語とブッシュマン語。ホッテントット語で自分たちのことを「ひとびと」の意味で「コイン」と呼び、ホッテントット語でブッシュマンのことを「サン」と呼ぶことから

 

サピア・ウォーフの仮説

言語の型が民族の思考様式や感じ方を強く規定している

という仮説。

対象の形状によって動詞が11種類変化

アメリカのニューメキシコ州のナヴァホ・インディアン、「それを私に渡してください」のとき、渡すものが「曲げやすい」か「長くて曲げにくい」など形状によって動詞が11種類変化する。事物の形状に特別注意を払うのでは?

ナヴァホの子をナヴァホ語を話す群と英語を主に話す群に分け、積み木を見せて同じ積み木を取り上げるよう指示すると、英語の子は色の似た積み木を、ナヴァホ語の子は形の似ている積み木を。

(ただしアメリカの大都市の白人の子も形の似ているものをえらんだので、言語だけではなさそう)

 

婚姻

一夫多妻制

要因、出生率と死亡率

どんな人種でも男女の出生率は一対一

女性の方が男性より若く結婚する傾向、無文字社会では男子25、女子15とか。そして無文字社会では15-25の間に死亡するケースが多く、適齢期の女性<適齢期の男性の構図となり、多妻制の要因の一つ

ただしある程度上回る程度、数倍に達することはほとんどなく、一夫多妻制社会でも経済的上位者や王侯貴族などごく一部に限られるのがふつう。

バガンダ族の男子殺し

アフリカのウガンダに住むバガンダ族は農耕民だが、19世紀末までは、一般の人々でも平均2人〜5人、酋長では数十名の妻。男の子が生まれると直後に殺してしまう風習(間引き)が酋長の家系にある。次男以降、酋長の地位の後継者争いを防ぐため。いけにえとして殺される男や、隣族とのたえまない戦争で男子人口が著しく減り、女子の3分の1ほど。

 

多妻制の権力構造 - 正妻が薦める

妻の方から農耕その他の作業を分担する共同者として、第二、第三の妻を娶るよう夫にすすめる。アメリカにキリスト教が入って、一部で多妻制が廃止されそうになったとき、もっとも強く反対したのは正妻たち

正妻以外の妻の地位は正妻にくらべてずっと低い。

夫の権力が極めて大きく、妻の自由は少ない。妻の評価は農耕作業、家事の能力で決められる

 

一妻多夫制

兄弟同士で共有 - 移動性に富む生活

ヒマラヤのチベット人、適齢期の兄弟がいる場合はかならず兄弟同士で妻を共有する。固定化されてなく、兄が別の家に妻を連れて出ていき、弟が新たに妻を娶り一夫一妻に移ることも。

放牧、隊商生活など非常に移動性に富む生活が要因

適齢期複数人で妻を共有

南インドのトーダ族、適齢期の年齢組のメンバー数名で1人の妻を共有することも。違う村に住んでいるときは妻が1ヶ月交代で回る。子供が生まれたら、父を決めるのは相互の協議。兄弟で共有の場合は長子から第3子くらいまでが長兄が父

ペキオ(第二の夫)とペキオ(第二の妻)

ポリネシアのマーケサス島、かつて一妻多夫制のときも。酋長は結婚すると妻の恋人を屋敷に住まわせ、その恋人に仕える他の男も住まわせる。すべてペキオ(第二の夫)と呼ぶ。酋長の方も第二の妻を持ち、こちらもペキオ(第二の妻)と読んだ。

 

母系制における人間関係 - オジとオイの接近

母系制、つまり出自(財産、地位の継承)が母親の線をたどる場合、父親が持つ特定の地位や技能(父親が呪術師であるとき、その唱え方など)や父特有の財産(狩猟用具など)はどこに継承されるのか問題

 母系制の場合、すべて女性を通じてないといけないため、父親の姉妹のムスコ(つまりオイ)へ伝えられる。

実の息子より、オイと親密に。子供から見れば、父親よりも母方のオジとの関係が密接になる。頻繁に父親はオイの家に出入りして暮らす。実の息子はまた、妻の兄弟が頻繁に出入りし、シツケなども請け負う。

父親の権力が強くなく、兄弟姉妹間の結合の方が夫婦間の結合より強くなる

 

レヴィレート婚とソロレート婚 - 逆縁婚

夫が死んだ後にその妻が夫の兄弟と再婚する兄弟逆縁婚をレヴィレート婚、

妻の死後、その夫が妻の姉妹と再婚する姉妹逆縁婚をソロレート婚。

多くの場合は優先ないし義務付けられている

 

冗談関係と忌避

日本語にすると奇妙な用語

冗談関係、妻の姉妹、もしくは夫の兄弟と会ったときは、かならず互いに冗談、とくに性に関する冗談を言って相手をからかわなければならない風習。逆縁婚があるところ。結婚の可能性の強い異性同士を接近させるものでは?

忌避、夫とその妻の両親は互いに出会っても絶対に口を聞いてはいけない、顔をそむけ合わねばならない。尊敬しあうべき関係でありながら、損なわれやすい間柄なので、はじめから距離をおいて接するように作られたのでは?

 

位牌婚、冥婚、幽霊婚

革命前の中国、婚姻は祖先祭祀を実行する男の子をうむこと、家族労働力を保持するためのもの。

現在の台湾、未婚のまま亡くなった女性のために、その家族はほかの男性を探してきて、位牌婚を行わせる。この男は他の生きている女性と結婚し、その息子の一人は位牌婚の妻の男の子として、亡き女を祭る役になる

アフリカのナイル河上流地域に住むヌエル族、未婚のまま亡くなった男性のために親戚は正式な手続きをふんで嫁をむかえる。他の生きている男性と結婚しうまれた子供は亡き男を法的父親とし、財産の相続など各種義務と権利を受け継ぐ、冥婚、幽霊婚

 

宗教

トーテミズム

ある地域に寄り集まって暮らし、財産を共有する場合が少なくなく、連帯感が強く、相互に助け合う氏族のような集団。祖先崇拝、祖先に関する共通の神話、祖先が動物である信仰を持ち、その動物を殺したり食べたりすることがタブー

 

アニミズム

霊魂の存在に対する信仰、全てに霊魂が宿る、気象、天文的現象にも

 

ポリネシアのマナ

目に見えない、生物無生物天然現象すべてに存在する、電気のごとくひとつの個体から他の個体へ流れゆく。マナがあるから早く走るカヌー、マナのおかげで実り、マナのおかげで成功する

北米のアルゴンキン・インディアンではマニトウ「偉大な力」

 

宗教と呪術の違い

宗教: 祈りなどを通じて超自然の力に援助を求める、懇願、畏怖の念

呪術: 慣習に基づく様々な方法、呪文で超自然を支配操作する、支配の気持ち

 

模倣呪術、類感呪術

期待することを真似たことをすると効果

呪いの藁人形、雨乞いの太鼓など

 

感染呪術接触呪術

相手と接触したことのある事物へ何か仕掛ける

髪、爪、衣服、足跡など

 

邪術 - 全てが呪術なしでは進まないメラネシアのドブ島

邪術が恐ろしく頻繁に行われている『ドブ島の邪術師たち』

すべてのことが呪術なしでは進まない。ヤムイモ、自分の家系にひそかに伝えられた呪文がないと上手く育たず、果樹に呪文をかけねば泥棒を防げず、風も吹かない

オセアニアの島々ではヤム芋の収穫が派手な行事、ドブ島は隣人に絶対に見られないように家ごとにひっそり。もし豊作なら妬まれて邪術をかけられ、殺されたり病気になる

他人を傷つけたいときはすぐ邪術。通る道にこっそり落としたり、触れた蔓草に呪文を吹き込んだり、病気にさせようとしたり。

親しければ親しいほど効果が大きくなるので、表面的には親しく振る舞う。夫婦の場合まず疑われるのは配偶者なので、悲しそうに振る舞う。対抗するための白呪術もたくさんある

 

アザンテ族の妖術 - 本人の知らぬうちに

アフリカのアザンテ族。

邪術は意図的にまじないを行うもの、妖術は術者自身は気付かずに心霊作用で他人に害を与えている

 

優秀な新参者に対する恐怖

黒の家筋

島根、高知、大分諸県にて

キツネ持ち、犬神筋などと言われ、相手に憑かせることができるとひそかに噂される。最古の家々でもなく、もっとも新しいものでもなく、第2期くらいに入村して成功し、古い家々を凌駕しようとした家系

他の家は白の家筋

 

群馬県一部のサンリンボー信仰

「あそこの家はサンリンボーを信じている」と村の人が噂する。三隣亡の日に近所に振る舞いをするのですぐわかると言われている。普段は人一倍ケチなのにその日に限って近所にご馳走を振る舞うが、それを食べると財産をすべて奪われる。本人はサンリンボーと呼ばれてることを知らない。

 

ポトラッチ - 出世のためのギフトコンテスト

北米の北西部・太平洋沿岸地方に住むクワキゥトゥル・インディアン

貨幣の役割、チルカットという毛布製のマントおよび銅の板、これらの品を蓄積しておき、自分と同じ階級に属するものを呼んで宴を開き、その席上でチルカットや銅板を相手に贈る、受けた相手は近日中にその二倍の量をお返しで与えることができればおあいこ、できなければ敗北。相手を次々と敗北させていけば名声が上昇し、上の階級にいける。社会の中で上昇していくための手段としてのギフト・コンテスト

 

サモアに存在しない思春期

ミードの著書「サモアの思春期」にて

サモアの人々には「青年期の危機」、つまり思春期だの中二病だのがない。

子供の時から大家族制の中で育てられ、だれにも人見知りしない癖、多くの人に浅く広く愛情を向けるようになっている、子供の時から性のことを隠されずに育っているため、思春期になって急に性について知らされてもショックがない、価値観の体系がひとつしかないため、どのような生き方をすべきかなどの悩みが無い、などの指摘

 

男女の性格と育て方

「三つの未開社会における性と気質」同じくミードの著作

男女の性格は育て方によって決まると主張。後年は遺伝的要素も一定あると認めつつ、先天的かと思われたのが後天的な要素だったと判明することはよくある。

アラペシュ族 - 全員がいわゆるな女性的

狩猟農耕を行っているが、男女とも温和で物静か、他人と争ってはいけないと子供の時から教えられ、特に他人と競争することを非常に嫌う。特に男に顕著な傾向、こうした特質が育て方に関連していると発見

育児が過保護的、あまり厳しくすると子供によくないと信じられている、子供が転んだら見ず知らずの人でもすぐ起こしてやる、子供のほうは自分で起きようとはしない。特に男の子の育て方において著しい、15歳くらいまでは癇癪を起したり泣いたりしても仕方がない、叱られもせずほしいものがもらえなければ地面にひっくり返って泣きわめく。一人前の男性になっても他人と言い争うとすぐに泣きだす。

チャンブリ族 - 一般とは異なる男女逆転

主たる生業の漁業を女性がやっている、男はヤシの葉でかごを編んだりといった手芸仕事を家の中で行っている。男はつねに劣等感を持ち、大変傷つけられやすい。

いわば通常とは男女の性格が逆になっている

 

文化変容

ハワイのムウムウ - 好転例

ポリネシアのハワイにアメリカの宣教師たちが初めて訪れたのが1820年、当時ハワイの住民は男女ともに上半身裸、これに衣服を強制的に着せることをまず手始めにやった。女性には船に積んできてあった布地でワンピースを大量生産、住民一人一人の体に合わせて裁断する手間はかけられず、だれにでもあうように、ぶかぶかのズンドウ型衣服を考案して一斉に配った。これが幸いにハワイの気候によくあったので受け入れられ、ハワイのムウムウの起源となった

アマゾン河流域奥地のシャバンテス族 - 悪化例

は男女とも全くの全裸だったが、第二次世界大戦後、1940年代の末にカトリックの宣教師たちが、これまた強制的に洋服を着せることに。高温多湿の気候の中で洋服を着ることに慣れていないため、皮膚病が一時蔓延、さらに、従来は酋長や身分ごとに裸にさまざまな装飾をつけるのが重要な身分の象徴だったのが、いっせいに同じような服を着ることになって、象徴体系が崩れ去った。伝統的な社会関係、価値意識が大きく崩壊

 

相対主義 VS 絶対主義 - すべての文化は評価せず尊重すべきか(無益な殺生も?)

相対主義、すべての文化はそれぞれ固有の価値を持っているのである、これを外部から批判したり評価することはできず、それぞれの慣習をそのまま尊重すべき

では、首狩りを伝統とする種族に対しては?そのまま首狩りを尊重すべきなのか、人類学者として、無益な殺生をなくすよう助言してはいけないのか

つまり、全世界に共通とした善悪の判断基準があるか否かの問題

ちなみに多くの人類学者はすべてを相対主義的にだけ見る立場には批判的

 

エスキモーへの文化変容 - 良い面も悪い面も

アラスカ北極圏に住むエスキモー、ツンドラの奥地でも発電機による電気で全戸テレビがみられるように、子供たちはテレビに釘付けになり、家庭内の対話が減る、家と家の付き合いがなくなる、などの社会を変えていく。必須の交通機関だった犬そりは次第に姿を消し、ガソリン・エンジンで動くそり付きスクーター、スノーモービルが代替してしまった。速度や行動範囲が犬そりよりも優れていて、狩猟の獲物の量も急増した代わりに、ガソリン代は高くかかるように。そのために現金収入が相当ないとやっていけない、そしてだれもが町へ工場労働者として出稼ぎにいくようになった。ますます都会化していく生活、消費も増える。

 

文化変容への反動

ゴースト・ダンス - 祖先も野牛も戻り、白人は死滅するのだ

1889年1月、ネヴァダ州に住むパイユート族の一人の予言者が、ある日突然神のお告げを聞いた

「インディアンのだれもが昔から理想としていた世界はもうまもなくこの大地の上に実現する。そしてすでに死んであの世に行っていた祖先たちもすべて生き返り、また野牛も昔とおなじように草原に満ち満ちるのであって、白人はすべて死滅してしまう。そして無我夢中で踊りつづけさえすれば、そのインディアンだけはみな生き残って幸福な世界を迎えることができるのだ」

しらせはたちまちネヴァダ州を超えて大平原地帯の平原インディアンに爆発的に広がった。大勢のインディアンが男女互いに手を取り合い、輪を作り歌いながら踊り続けた。

1890年12月29日サウス・ダコタ州のウーンデット・ニーという名の地にスー族がたくさん集まってただ踊りに酔いしれているとき、何か危険な暴動が起ころうとしていると勘違いした白人は軍隊を出動させて突然一斉射撃をした。

歳月が過ぎ去って後の1972年、アメリカ・インディアン運動急進派の青年たちは、ウーンデット・ニーを突如として武器で襲い、この村に住む白人たちを人質に政府に対するプロテストを行った

 

ヴァイララ狂信 - 白人は消え、先祖が白人の便利グッズを持って帰ってくる

ニューギニアのパプア湾にあるヴァイララ河の河口付近で発生したもの

ある日突然に得た神のお告げ。「亡くなった先祖の霊がもうすぐ、あの世から白人たちの便利な品物をたくさんつんだ汽船にのって帰ってくる。その時白人たちはすべてこの地から追い払われ、この世には大きな変化が起こる。だからわれわれはそのときにそなえ、いつでも祖先を迎えることができるよう、祭壇を作って食物を備え、祭りの準備をしなければならないのだ」

もし飛行機で飛んできても降りる場所がわからなくては大変だと、すぐ着陸できるように奥地のジャングルを切り開いたり、大きな模型の飛行機を地面において空からすぐ見つけられるように。ニューギニアのポート・モレスビーとオーストラリアを結ぶ定期航空路に沿った地域において主に発生。飛行機を不思議な力を持った、魅力的な存在として目に映ったのでは

 

認識人類学の研究例

エチオピア牧畜民ボディ族 - ウシの分類に特化

モロコシなどの焼畑農業も行うが、主なのはウシ・ヤギを中心とする牧畜、ウシ一頭一頭をはっきり認知識別ができる、性別、生育の段階、角の形もあるが何よりもそのウシの色彩と模様で見分ける

紋様の認知の仕方、ウシの模様として現れる可能性のあるすべての幾何学模様にすべて名前がついている。ボディ族の子どもはさまざまな形や色の小石を使いら色彩名称と幾何学模様の名称を習得、これによってウシの分類に熟知。幾何学模様の分類方法はウシだけでなく全てに適用されている。ウシの模様がすべての中心。ウシの模様として現れることのないような幾何学模様に関しては名称もなく、認知・分類は全くできない、というより関心が全くない